2021年3月16日火曜日

アメリカの不動産投資の教科書『Rich Dad Advisors The ABCs of Real Estate Investing』 を読んで学んだ事

 2016年にロバートキヨサキさんの『金持ち父さん 貧乏父さん』の英語版『Rich Dad Poor Dad』を読んでから、お金に対する考え方が変わり、日々ファイナンシャルリテラシーを向上させる為に努力してきました。


 以前の記事 『ファイナンシャル本のベストセラー!  『金持ち父さん 貧乏父さん』の英語版 『Rich Dad Poor Dad』 を読んでみた』


日本とアメリカでは不動産事情が大きく異なる

アメリカでは、不動産価値は毎年上昇するのが常識で、「不動産は最高の投資である」と言われています。

日本では、不動産は買った瞬間が一番高く、毎年価値が下がっていくのが普通なので、ちょっと理解しがたい事実です。

私は2016年にアメリカで初めて家を購入しましたが、毎年価値が上がり、たったの5年で推定価値が30%も上昇しました。(アメリカではネットでほぼ全ての家の現在価値、価格の推移、築年数、売買履歴などの情報を見る事ができます。)我が家同様に、近隣の家の価値も年々上昇しています。

かと言って、毎年不動産価値が上昇する補償はどこにもありません。リーマンショック時にはアメリカの不動産価格は下落しました。2009~2012年頃はアメリカのほとんどの不動産価格が下落しており、半値近いほど下落した家も沢山あります。当時は、多くの富裕層投資家がキャッシュですばやく不動産を買うので、一般の人達は不動産価格が下落してもローンで家を買うのは難しい状態でした。2012年と比較すると、多くの不動産が今では2倍以上に価格が上昇しています。2012年頃に投資物件を買えた人達は、大きく資産を増やせたでしょう。



金持ち父さんの「自宅は負債である」という考えは正しい

それでも「自宅は負債である」という金持ち父さんの教えには今でも納得しています。毎月の支出(ローンなど)はできるだけ少ない方が良いです。理由は、残ったお金を積極的に投資にまわすことができるからです。

もし、「アメリカでは家は最高の投資だから」と信じて、大きすぎる家(自宅)を買うと貧困の道へすすむ可能性があります。毎月のローンの支払い額が多すぎて、自宅以外の投資に回せるお金がなくなります。お金が必要になった時に、自宅を売るしか方法がないのはかなりのリスクです。

どんなに価値が上がっても、ローンの支払い義務があるので「自宅は負債」ですが、自宅以外に不動産を買って貸し出せば立派な投資になります。


The ABCs of Real Estate Investing by Ken McElroy

前置きが長くなりましたが、ここからが本のレビューです。


『The ABCs of Real Estate Investing』を読んで学んだ事

チャンスがあれば不動産投資も選択肢に入れたいと思い、The ABCs of Real Estate Investingを読んでみました。(日本語版は『不動産投資のABC』プロの不動産投資家ケン マックロイ(Ken McElroy)さん著書の本です。ロバートキヨサキさんおすすめの不動産投資本だけあって、かなり読みやすいです。今日はケンさんの本から学んだ事をシェアしたいと思います。


1.小さい物件はリスクが高い

戸建てやコンドミニアム1戸など、小さい物件を購入する場合、ローンが通るかどうかは本人の経済力によります。収入が多い人はローンが通りやすいですが、無収入だとローンは通りません。 

反対に、大きな物件の場合はどうでしょうか。たとえば数億の価値があるアパート1棟を何人かで共同購入する場合、アパートからのキャッシュフローが大きいので、アパートの価値によってローンが通ります。さらに、家賃の上昇とともに、キャッシュフローが大きくなれば、さらに不動産の価値が上がっていきます。

空室が出た場合のリスクも、小さい物件はリスクが高いです。1戸建てやコンドミニアムなどの小さい物件だと空室のローンの100%をオーナーのお金で補填する必要があります。反対に、大きな物件のアパート1棟の場合は、たとえ10戸中に3戸の空室が出ても、30%で済みます。また7戸のキャッシュフローから補填すれば、自分でお金を払う必要がありません。



2.不動産投資はチームワークである

アメリカの不動産価値は一般的に年々上昇するので、不動産投資は魅力的に見えます。株式投資と違うのは、管理や手間がかかる事。たとえば、遠方に住んでいるからと、実物を見ずにアパート一棟を購入。管理はプロパティマネージメント会社に任せれば良いと、管理をまるなげする人もいますが、そうすると失敗する可能性も高まります。管理が悪いと、修理すべきところを放置したり、質の悪い入居者が増えて、家賃が回収できなかったり、治安も悪化していきます。不動産投資を始める場合、専属チームを作って全てが円滑に効率よく進むようにします。弁護士、会計士、ブローカー、プロパティマネージャー、コントラクター、保険エージェント、エステートプランナー、エンジニアなど、すべてのチームメンバーが一丸となることで不動産投資が成功します。そして、実際に自分の目で物件を見て、不動産投資がうまくいっているのか定期的に評価する必要があります。



3.不動産投資に成功している人は特別な能力があるわけではない

「この土地にアパートと建てたら、将来需要が高くなるはず!」という自分の直感や、予想を信じるより、まずは多くのプロに自分のアイデアをぶつけて反応を見る事。プロの多くがイマイチな反応だったら、自分の予想はおそらくハズレ。もし、意見を聞かずに突き進んでいたら、失敗して代償をはらうのは自分になります。



4.フリップで短期間で儲けようとするのはギャンブル

フリップとは、古くさい家を安く買って、短期間でリフォームして高く売って利益をあげる事です。ケンさんによるとフリップはギャンブルと同じだと言います。そもそも短期間で価値が上がる補償はないし、短期間で家を売ると、キャピタルゲインで多くの税金を納める必要があります。一番良い方法は、不動産は長期保有すること。今の家を売らずにリファイナンスしてエクイティからキャッシュアウトして現金を手に入れて、そのお金をダウンペイメントにあてれば、手出しゼロで次の家を買えます。(ただし、エクイティからキャッシュアウトすると、ローンが増えるのでリスクも高くなります。)


The ABCs of Real Estate Investing by Ken McElroy


The ABCs of Real Estate Investing by Ken McElroy

Contents

Foreword : Learn from an Expert by Robert Kiyosaki

Chapter One : The Myths and the Magic

Chapter Two : You Gotta Have a Goal

Chapter Three : It Takes a Team

Chapter Four : Research Can Be Fun?

Chapter Five : Swampland for Sale

Chapter Six : Finding Your Diamond in the Rough

Chapter Seven : Is It Really a Diamond?

Chapter Eight : The Big Commitment

Chapter Nine : Due Diligence : The Easter Egg Hunt

Chapter Ten : Making Sense of It All

Chapter Eleven : You Own It ... Now What?

Chapter Twelve : To Sell or Not to Sell

 The ABCs of Real Estate Investing by Ken McElroy


本気で不動産投資をしたい人向けの本

とても読みやすい本でしたが、内容は本気で不動産業に取り組みたい人向けの本でした。不動産投資や、マネージメントについて例をあげながら分かりやすく書かれています。アメリカで不動産投資を考えている人や、すでに不動産投資を始めている人には、不動産投資の教科書として、ぜひ読んでほしい本です。アメリカのアマゾンで、とても評価が高く、人気の不動産投資の本です。(アマゾンで現在レビューが1,471件で星が5中4.6です。)

英語版 『The ABCs of Real Estate Investing』by Ken McElroy

英語の難易度は?

ロバートキヨサキさんの金持ち父さんシリーズと同様に、この本も英語自体の難易度は高くありません。洋書としては、非常に読みやすいです。168ページの本なので、数日で読めるでしょう。また、英語が苦手な方には日本語版もあります。


●日本語版  『不動産投資のABC』 Amazon 販売ページ

●英語版   『The ABC of Real Estate Investing』 Amazon 販売ページ


日本語版『不動産投資のABC』 ケン・マクロイ

不動産投資をするかどうか・・・

私もチャンスがあれば、不動産投資も視野にいれようかと思いましたが、本を読んでみて少し気持ちに変化がありました。株式投資と違って、不動産投資は手間がかかります。本を読んで、リスクを伴う『副業』だと思いました。『副業』というより、場合によっては『本業』と同様と思った方がよさそうです。リスクはコントロールするものですが、自分でコントロール可能なリスクなのか?ということも課題です。

コロナショック時もアメリカの不動産価格は影響なく上昇続けています。コロナショック時は、「ついに不動産価格が暴落するぞ!」と不動産投資家は声をそろえて言っていましたが、金利の低下から、需要が上がり、不動産価格は上昇し続けています。

でも実際は、コロナショックで不動産投資には大きな影響がで始めています。コロナショック時から家賃を払っていない人が増加し問題になっています。今のところ、政府の対策で家賃滞納の立ち退き禁止になっています。コロナショックからすでに1年経過しています。家賃滞納している人達が、猶予期間が過ぎたら今までの分全額支払いできるでしょうか?おそらく、多くの場合、「ないものは払えない!」と未払い分を踏み倒すと思います。

パンデミックが終了したあと、アメリカの不動産市場がどのようになっていくのか、見ていきたいと思います。


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